徳島弁護士会
(c) 業務以外の心理的負荷の強度は,発病前おおむね6か月の間に
起きた客観的に一定の心理的負荷を引き起こすと考えられる出来事
を,自分の出来事,自分以外の家族・親族の出来事,金銭関
係,事件,事故,災害の体験,住環境の変化,他人との人間
関係に大別した,別表2「職場以外の心理的負荷評価表」(以下
「別表2」という。)により評価する。
なお,別表2においても別表1と同様,出来事の具体的内容等を
勘案の上,平均的な心理的な負荷の強度を変更し得るものであり,
別表2で示した心理的負荷の強度は,別表1
で示したものと同程度の強度のものである。
収集された資料により,別表2に示された心理的負荷の強度が
該当する出来事が認められる場合には,その具体的内容を
関係者からできるだけ調査し,その出来事による心理的負荷が客観
的に精神障害を発病させるおそれのある程度のものと認められるか
否かについて検討する。
(d) 個体側要因として,精神障害の既往歴,生活史(社会適応状況),
アルコール等依存状況,性格傾向の各事項について調査し,それが
客観的に精神障害を発病させるおそれのある程度のものであるか否
かについて検討を行う。
e 業務上外の判断について
業務上外の判断に当たっては,上記各事項について各々検討し,そ
の上でこれらと当該精神障害の発病との関係について総合判断するが,
具体的には,次の場合に分けて判断する。
(a) 業務以外の心理的負荷ないしは個体側要因が特段認められない場合
で,別表1の総合評価が「強」と認められるときには,業務起因性が
あると判断して差し支えない。
(b) 業務以外の特段の心理的負荷,個体側要因が認められる場合には,
別表1の総合評価が「強」と認められる場合であっても,業務以外の
心理的負荷の強度及び個体側要因の検討結果を併せて総合評価し,前
記cの判断要件の(b)及び(c)の要件のいずれをも満たすか否かについ
て判断する。
f 自殺の取扱いについて
ICD-10のF0からF4に分類される多くの精神障害では,精
神障害の病態としての自殺念慮が出現する蓋然性が医学的に高いと認
められることから,業務による心理的負荷によってこれらの精神障害
が発病したと認められる者が自殺を図った場合には,精神障害によっ
て正常の認識,行為選択能力が著しく阻害され,又は自殺行為を思い
とどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われ
たものと推定し,原則として業務起因性を認める。
イ本件における業務起因性
(ア) 亡Aに生じた精神障害について
まず,亡Aが生前精神障害に罹患していたかどうか,罹患していた場
合の症状の内容,程度及び発病時期について検討し,これを踏まえ,当
該精神障害の発病前に,客観的に当該精神障害を発病させるおそれのあ
る業務による強い心理的負荷があったと認められるかどうかを検討する
必要がある。